肌色は塗り方のほうが大事!

前回、「キャラクターを塗る場合、「どんな肌色を使うか」というよりも「どう肌を塗るか」というほうが重要だと思います。」と言いましたが、それはいったいどういうことかをここで説明します。

前回の講座で、いろいろなブランドの色鉛筆の「肌色」を比較してみました。その結論として「保存を考えないのであればトンボの色鉛筆がコスパがいい」と述べましたが、その「安いけど、発色がいい」というトンボの色鉛筆を使った絵をご紹介しましょう。
肌色のよくない塗り方

使用した色は、トンボのうすだいだい色
べた塗り。影になっている部分は強めに塗る。なるべく時間をかけずに塗りたいから、少し雑、という色鉛筆初心者がやりがちな方法で塗ってみました。

これだと、完全に「ぬりえ」。大人が塗ったようには見えないですし、線画のレベルが高ければ高いだけ、「線画は借り物、色だけ本人が塗った、素人の作品」という印象になりやすいです。

アニメのように、均一に塗りたい場合、本当に色鉛筆でいいのかっていう問題があります。だって、色鉛筆は点と線で塗る画材。面を塗るのに時間がかかるし、べた塗りしたいんだったらコピックのほうが圧倒的に優れていますし、プロの人たちも、べた塗り場面ではコピックや絵の具を使ってます。

色鉛筆を使うなら、ある程度「色鉛筆らしい塗り」をしないと、道具が生かされません。せっかくいい絵を描いたとしても、色鉛筆でべた塗りをしただけで「小学生の塗り絵みたい」と思われがちです。では、どういう塗り方がいいのか。

色鉛筆で肌を塗る順番

どんな色鉛筆を使っているかによります。ここではトンボの色鉛筆(24色セット)を使用しています。
ロウが多い、硬めの色鉛筆、発色が弱いなぁと思うような色鉛筆(Derwent Artists、ペリシアでない三菱色鉛筆など)は、濃い色から塗り始めてください。発色がいい色鉛筆は、順番はあまり気にしなくてもいいですが、ペリシア、Verithinでないカリスマカラーは、上にべったりねっとりと色を載せる傾向にあるので、すこし注意が必要です。ここの塗り方はあくまでも参考程度。自分の独自の塗り方を探してみてください。

ベースとなる肌色ぬりぬり

出来る限り色鉛筆をとがらせて、うすく塗ってください。今回はコピー用紙を使っていますが、ある程度紙目がぼこぼこしている用紙だと、最初の色の層はしっかり奥の方に塗りたいので、キンキンにとがらせた芯で塗る必要があります。
肌色を塗る1

赤みを加えます

人間らしさ、血が通っている感じは、赤い色を加えることで表せます。トンボの「しゅいろ」を使って塗り塗り。
肌色を塗る1

影になる部分にも塗りますが、基本的に唇、指先、肘とか、自分の体を見て「ちょっと赤いな」と思うところを塗りましょう。男性の場合、ほっぺたにあまり赤をのせないほうがいいです。女性はほっぺたと、色白な場合は目の周りにのせましょう。
肌色を塗る1

影をぬりぬり

影の部分は茶色や黒を使いがちなのですが、できれば塗っている色の「補色」を使いましょう。うすだいだいの補色は「青」もしくは「青紫」です。影部分に赤を塗ってから青を塗ることで、やや青紫寄りになるはず。

補色を使うことで、もとの色が引き立ちます。つまり、肌色の影部分に青を塗ることで、明るい部分の肌が引き立つのです。また、人間の肌の下には静脈の血管が通っており、青、青緑色の要素も肌に含まれるので、すこしリアルになります。
肌色を塗る1

バランスをとる

青を塗ると、人間離れした気味の悪いゾンビっぽさが出てしまうので、影の部分に茶色、橙色などをかぶせて、バランスをとります。
最後に、うすだいだいをさらに塗って、全体を馴染ませるといい感じになります。
肌色を塗る5

べた塗りの絵と、いろいろな色を使って塗った絵を比べてみると、パッと見「絵がうまそう」に見えるのは、いろんな色を使った場合だと思います。
べた塗り、肌色比較肌色比較


複数の色を使っている場合、多少の塗りムラは、人が人らしく見える「味」だったり、色鉛筆ならではの「空気感」として見てもらえるようになります。

注意点

使用する色鉛筆の種類、紙、ご自身の筆圧によって、最適な塗り方は変わってきます。

色を塗るときに、あまり強い筆圧で塗り始めてしまうと、紙がつるつるになってしまい、何色も重ねて塗ることができなくなります。色鉛筆を塗るときに必要なのは「ひっかかり」です。一番最後の層以外は、色鉛筆はきちんととがらせて、とがった芯で塗るようにしましょう。芯先が丸いと、紙目がつぶれやすく、早い段階で紙がつるつるになります。

最後まで紙目(白いポコポコとした部分)が見えているほうが色鉛筆らしいですが、最後にうすだいだいや白で、かなり強い筆圧でぐりぐり塗ると、ちょっと写真ぽくなります。とはいえ、紙がかなりつるつるとするので、スキャンしたり、写真を撮った時に、反射して色が飛びやすいので、デジタル化してピクシブなどに投稿したい場合は注意です。


おすすめ色鉛筆組み合わせ

影の部分や色の重ね方には好みがありますし、朝日にあたっているか、夕日にあたっているかでも色の表現が違うので、一概におすすめはしづらいです。意外と「この色は肌に使っちゃだめだろ」と思っている色でも、影の部分ではいいアクセントになったり、髪の毛の色が反射しているように見えたり、服の色が透けて見えているようになったりして、意外とリアルに見えてよくなったりします。

youtubeにたくさんの色鉛筆メイキングが上がっていますので、参考にするといいかもしれません。color pencil drawingでメイキングが結構出てきますし、一度人物画を色鉛筆で塗っているのを見つけると、関連動画で芋づる式に見つかります。

途中の色は、「これ、絶対におかしい!」と思うくらい大げさに塗ったほうがよくなったりします。男性なのに唇赤すぎ!と思っても、最後に茶色をのせるとちょうどよくなるのに、「こんなもんか」というレベルの赤みだと「なんか、唇が土気色で、疲れているように見える」と思えてしまうかもしれません。最後の色を塗るまで、いいか悪いかわからないので、途中でどんなに「駄目だ!!」と思っても、完成させてください。
あと、背景を塗っているか、塗っていないかでかなり印象が違いますので、本当の意味で肌色の塗りを練習したい場合、背景もちゃんと丁寧に色を塗ってください。(背景に色がない場合の最適な肌の塗り方と、ある場合の塗り方が違うので)

よろしければ、練習用にお持ち帰りください。(下の絵をクリックすると、拡大版が表示されます)
肌色練習用塗り絵
(転載禁止。他サイトでのアップロード、公開はお控えください。プリンターで印刷し、練習する目的でごご利用ください。私のサイトのurlをご紹介いただけるならば、塗った後の絵をネット上で公開するのはOKです)

同じ塗り方、違うブランド

ダーウェントアーチストの肌色
ダーウェント色鉛筆の肌色

Derwent ArtistsのLight Sienna1610でベースを塗り、それ以外は上のトンボと同じように塗った。

ホルベインアーチストの肌色
ホルベインアーチスト色鉛筆の肌色

ホルベインアーチストのJaune Brilliantでベースを塗り、それ以外はトンボと同じ塗り方。

ファーバーカステル ポリクロモスの肌色
ポリクロモスの肌色

Faber Castelle PolychromosのLight Fleshでベースを塗り、それ以外はトンボと同じ塗り方。

三菱色鉛筆ペリシアの肌色
ペリシア色鉛筆の肌色

三菱色鉛筆のペリシアのLight Fleshでベースを塗り、それ以外はトンボと同じ塗り方。

同じ塗り方で、いろんなブランドの色鉛筆を使ってみましたが、ベース以外の色をホルベインで統一して塗っているので、結局全部同じような印象になってしまいました。(ホルベインだけは150色を大人買いしていて、あとは気になった色のものを1本ずつそろえているから、青とかを各ブランドでもってない)。
ダーウェント、カリスマカラー、ポリクロモスはそれぞれ、肌色以外も特徴的なので、どれかのブランドで全色持っている人は、ブランドを分けて塗ってみたら全然違う結果になるかもしれません。

前回ご紹介したベースとなる肌色ですが、肌色だけ並べてみると、

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ホルベイン(左)とポリクロモス(右)はだいぶ違って見えたのですが、影や赤みをのせてみると、大した違いがないように見えてくるから面白いですね。

ホルベインアーチスト色鉛筆の肌色 ポリクロモスの肌色

私自身、「肌色!」とこだわっていろんなブランドの肌色を買いあさってみましたが、重要なのは「影やなじませ色に何色を使うか」「どうやって重ねていくか」だったという落ちでした。ちゃんちゃん。
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